福祉用具貸与と住宅改修

 在宅で要介護状態にある高齢者を介護しながら生活する時には、介護者である家族にかかる負担を少しでも軽くするために福祉用具がとても重要になってきます。最近では高齢者の自立を促進するために必要な福祉用具をレンタルすることのできるサービスが提供されています。また、数ある福祉用具の中でも、レンタルに向いていないような尿器などに関しては、1年間あたり10万円までという限度額があるものの、特定福祉用具として支給限度基準額範囲内で提供されています。
 それではどのような物を借りることができるのでしょうか。具体的には、特殊寝台と呼ばれるベッドや、車椅子などの福祉用具が介護保険で借りる事ができます。要介護認定で支給限度額が決定するのですが、要支援1~要介護1までの方については借りられる用具の品目が限られています。スロープや手すり、歩行介助つえや歩行器の4種類以外は基本的に借りる事はできません。医師がその利用者にとってその福祉用具を使う必要があると判断し、認められた場合にのみ、借りることができます。
 レンタルに向いていないトイレの便衣や特殊尿器や簡易浴槽といった特定福祉用具に分類される5品目に関してはレンタルが行われていないので、購入して使用することになります。特定福祉用具の購入に使用できる介護保険の利用限度額は1年あたり10万円となっています。これは要介護認定で決定した要介護度別の支給限度額とは別に支給されます。特定福祉用具を購入する際に、全額の立替払いを行い、利用者に対して代金の90%が戻されるシステムになっています。福祉用具の購入先はどこでも良いというわけではなく、都道府県が指定している事業者から購入する必要があります。指定の事業者以外のところから購入した場合には、介護保険が適用されず、費用が支給されません。
 福祉用具を購入する際には、福祉用具専門相談員という福祉用具取り扱い事業者に所属している専門家がサービスの利用者の体の状態を判断し、その人に適した福祉用具を選んでくれます。
 2009年の改定時には、例え同じ福祉用具であっても、取り扱っている事業者や地域ごとに価格が異なっており、とても高い商品として考えられているという問題があったために、2012年の改定時には、レンタル料金の状況をしっかりと把握し、分析、公表することで、価格の適正化を目指すようにしています。
さらに、この件に関しては、「福祉用具における保健給付の在り方に関する検討会」において、今後も検討および議論が続行されることが決定しています。これから、市町村が福祉用具の価格を公表していく方向で、利用者に対しても価格についての明確な情報を提供していく流れです。

レンタルできる福祉用具と購入する必要のある福祉用具

レンタル可能な福祉用具
車椅子、褥瘡予防寝具、特殊寝台、てすり、スロープ、歩行器、体位変換機、認知症高齢者徘徊感知機器、自動排泄処理装置、移動用リフト
購入対象の特定福祉用具
特殊尿器、入浴補助具、腰掛け便座、簡易浴槽、移動用リフトのつり具

住居改修費用の支給について

 要介護状態にある高齢者であっても、これまで何十年もの間家族と幸せに生活してきた住み慣れている自宅で今後も暮らしていきたいと考える人がほとんどだと思います。その思いは、介護をする側の家族にとっても同様でしょう。実際に在宅での介護を望む人がたくさんいます。
 そこで、介護保険には、在宅介護をするために必要な、特定の住宅の改修にかかる住宅改修費を支給する制度があります。介護給付では、住宅改修費として支給されますし、予防給付では、介護予防住宅改修費として支給されます。支給される費用の名称は異なりますが、支給の目的は同様であり、介護の程度が要支援か要介護であるかに関わらず、支給される費用の上限は20万円と決まっています。
 もし住宅を改修した時に30万円の費用がかかった時は、上限である20万円に9割がかけられて、18万円が支給されます。福祉用具の購入時にも自己負担額が1割でしたが、住宅改修に関しても、1割の自己負担額が制定されています。
 この限度額である20万円というのは、同一住宅が対象です。引越しした場合には、追加で1回を限度に適用されます。改修費用の上限である20万円に到達するまでは、住宅改修費は何回でも支給されます。
 なお、住宅改修費は、市町村に対して事前申請を行わない限り、支給を受けることができませんので、住宅改修の工事が行われる前に、必ずケアマネジャーもしくは地域包括支援センターに連絡し、相談するようにしなくてはなりません。
 市町村に対する住宅改修費の申請は、原則としては被保険者である本人もしくは家族によって行う必要がありますが、本人や家族以外の人でも申請をすることはできます。また、指定介護保険施設や指定居宅介護支援事業所、老人福祉施設等で働いているケアマネジャーが代わりに申請を行う場合もあります。
 住宅改修費を申請することができる工事は次の通りです。

  1. 手すりを取り付ける:便所や廊下、浴室や玄関、玄関から道路に出るまでの通路などに、手すりを取り付けて、移動のサポートをしたり、転倒を防止したりすることを目的として設置する住宅改修。
  2. 段差を無くす:便所や廊下、浴室や玄関、居室といったところの床の段差や玄関から道路に出るまでの通路の段差を無くすための住宅改修。スロープを取り付けたり、敷居を低くしたり、浴室の床を上げるなどの工事はこの項目に当たります。
  3. 床材変更の工事:滑ることを予防したり、転倒を防止するための住宅改修。
  4. 扉の取り替え:開き戸をアコーディオンカーテンや折り戸、引き戸などに交換するなど、扉を取り替える他、戸車を設置したり、ドアノブを変えたりなども該当します。
  5. 便器を洋式に変更する。
  6. その他:壁の下地を強くしなおし、手すりを取り付ける土台を整えたり、浴室の床をかさ上げするために給排水設備の工事を行ったり、床材を変えるために下地を強くしたり、通路面に使用する材料を変えたり、扉を変更することに伴って柱や壁を改修したり、便器を取り替えるために給排水工事を行ったりなどが該当します。

改修工事をする住宅は介護保険被保険者証に書かれている住所と同じでなくてはなりません。

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