訪問介護

 日本における医療や介護は、基本的に在宅介護をすることが多いようです。ところが、介護には相当な体力が必要ですし、知識がなくては戸惑うことでしょう。それに、介護をしている家族の方がもしも倒れてしまったら、介護をしていられないでしょう。1年中家族だけで介護をしていくというのは現実的に考えてとても難しいことなのです。
 そこで訪問介護について目を向けてみましょう。日頃在宅介護をしている家族が、1日の内のたった30分程度であっても、1時間であっても、介護から解放されたら心に少しは余裕が出て来ますよね。そのようなことを実現するために訪問介護があるのです。

要介護1~5に該当する利用者が受ける訪問介護の内容
 訪問介護サービスというのは、介護が必要な日常生活を送る上で支障をきたしている高齢者の自宅に訪れて、介護や家事の手伝いなどのサービスをするというものです。ホームヘルパーは高齢者の自宅で、買い物や調理、食事の介助や掃除、選択、入浴、排泄などの世話をしてくれます。家事を中心としたサポートで、基本的な介護のサービスであると言えるでしょう。要介護1~5に該当する人の場合は、これらのサービスが2種類のカテゴリーに分ける事ができます。「身体介護型」と言われる、着替えの手伝いや入浴介助、食事の介助、オムツの交換といったサービスと、「生活援助型」と言われる掃除、洗濯、調理といったサービスの2種類です。これらの他にも、利用者が病院に行く時に送ってくれる介護タクシーなどもあります。
サービス時間の細分化について
身体介護や生活援助と同様に、介護サービスが提供される時間についても2012年に改定が行われました。身体介護については「20分未満」と「20分以上30分未満」という単位が加えられ、生活援助については、「20分以上45分未満」と「45分以上」というように変わっています。ですから、利用しようと考えているサービスを提供している事業者がどのような時間の単位でサービスの提供を行っているのかを確認してみましょう。
20分未満の短めの身体介護の導入で1日に複数回の利用が可能に
今回の改正により、身体介護のサービス提供時間の単位に20分未満という単位が追加されましたが、このサービスはサービスの利用者がサービスを定期的に利用することを想定したものです。詳しくは、起床・就寝の介助、排泄の介助、服薬の介助、体位の変換などが該当します。また、本人の健康状態の確認や、安否の確認、声かけなどについては算定されていません。
ちなみに、集合住宅に住んでいる利用者に対して事業者がサービスを行う時に、作業を効率的に行うためだけに20分未満のサービス単位を選ぶ事は認められてはいません。利用者は何故サービスの時間が短くなったのかをきちんと事業者に対して確認するようにしましょう。また、その時間短縮についての説明を、事業者も必ずしっかりと行う必要があります。
20分未満のサービスは要介護3より重度の人に適用
日中に行う20分未満の身体介護サービスは、要介護3レベル以上の人が利用する事ができます。要介護1・2該当する利用者は、自己負担になりますので注意が必要です。
生活援助の提供時間の変更についての注意点
今回の改正において、生活援助に関しては、「20分以上45分未満」「45分以上」という2種類の時間枠に短縮されることになりました。従来の60分および90分ほどのサービスがもし短縮されるのであれば、改めてサービス内容に関して調査を行わなくてはなりません。
時間が短縮されることのメリットとしては、今までサービスは1日につき1回しか提供していなかったのですが、午前と午後の2回に分けてサービスを受ける事ができるというプランを立てることができるようになりました。生活援助のサービスを利用している人は、ケアマネジャーと十分に話し合って、サービスの内容を改めて確認してください。
特定事業所加算には変更なし
特定事業所加算は2009年に行われた介護報酬の改定時から行われているのですが、これについては特に変更になった点はありません。特定事業所加算というものは元々あったのですが、2009年に算定要件が変更されました。今回の報酬改定においては変更はありません。
サービスを利用する側が注意しなくてはならないポイントとしましては、サービスについての契約をする時に、介護事業者の方から特定事業所加算があるかどうかについてと、加算額について確認することにはなっているのですが、事業者の手続きが十分でない場合もあります。ですからケアマネジャーを通して必ず確かめるようにしてください。
訪問介護に関わる特定事業所加算というのは、一定の水準を満たした介護のサービスを介護を受ける側に対してきちんと提供できる制度が整っているかどうか、介護職員の中で介護福祉士はどれくらいの比率でいるのか、重度介護者が利用している比率はどれくらいなのかによって(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)という3種類の加算率に設定されています。
【特定事業所加算・加算率】
特定事業所加算(Ⅰ)・・・所定単位数の2割を加算する
特定事業所加算(Ⅱ)・・・所定単位数の1割を加算する
特定事業所加算(Ⅲ)・・・所定単位数の1割を加算する
【特定事業所加算の算定における要件】
特定事業所加算(Ⅰ)・・・[体制要件]+[人材要件①+②]+[重度要介護者等対応要件]
特定事業所加算(Ⅱ)・・・[体制要件]+[人材要件①か②]
特定事業所加算(Ⅲ)・・・[体制要件]+[重度要介護者等対応要件]

詳細は次を参照してください。

[体制要件]
1.訪問介護員等全員に個々の研修スケジュールを用意し、研修を行っているか、研修を行う予定があること。
2.利用者に関わる情報や、サービスを提供する際に留意すべきことの伝達、訪問介護員のスキルアップを目的としたミーティングを開催すること。
3.サービスの利用者についての情報やサービスを行う際の注意事項をサービス提供の責任者が文書などで訪問介護員などに確実に伝えてから開始し、終了した後には報告を確実に受けること。
4.訪問介護員全員に対して、定期的な健康診断を行っていること。
5.利用者に対して、緊急時の対応の仕方を明確にされていること。

[人材要件]
1.訪問介護員全体の内、介護福祉士30%以上、もしくは介護福祉士と介護職員基礎研究課程修了者、1級訪問介護員で50%以上になっていること。
2.サービス提供責任者は実務経験が3年以上ある介護福祉士か、実務経験が5年以上である介護職員基礎研修課程修了者もしくは1級訪問介護員であること。しかし、2人以上のサービス提供者を事業所に配置する必要がある場合は、サービス提供責任者を2人以上常勤しなくてはならない。

[重度要介護者等の対応要件]
 前年度もしくは介護報酬の算定が行われる時から遡って3ヶ月前のサービス利用者の中で、要介護4 ・5の人および認知症日常生活自立度(Ⅲ)以上のサービス利用者の数が20%以上いること。
初回加算と緊急時訪問介護加算に関しても変更は無し
訪問介護の新規利用者のご自宅に行く時に、サービス提供責任者自身がサービスを行う、またはホームヘルパーと一緒に訪問した場合に初回加算が200単位/月として認められます。
さらに、サービスを利用している要介護者や家族からの依頼で、元々のケアプランに組み込まれていない緊急時の訪問介護をした場合は、緊急時訪問介護加算の100単位/回として認定されています。
生活機能向上連携加算について
今回の改正時に、生活機能向上連携加算が新設されました。生活機能向上連携加算というのは、訪問リハビリテーションを行う際に、利用者の家にサービス提供責任者とリハビリ担当者が一緒に訪問して、訪問介護計画書を一緒に作成した時に100単位/月が加算されます。
サービス提供責任者配置減算について
今回の改正では、サービス提供責任者に実務経験が3年以上ある2級ヘルパーを置いている事業所における介護報酬の10%を減算することになりました。ですから、サービスを利用している人は、サービス提供責任者の資格をチェックするようにしましょう。
ただし、2級ヘルパーでも、2012年以内に介護福祉士の実務研修を修了する場合は免除になります。

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